アントニー=ゴームリー・マーティン=ゲイフォード『彫刻の歴史: 先史時代から現代まで』東京書籍

美術史や絵画史のテキストはすでに持っているので次は「彫刻の歴史」に目を通しておく。立体作品にはまったく不案内で、せめて最低限の知識は持っておきたい。本書は写真が多く初学者にもやさしそうで良い。本文を飛ばして図版を眺めるだけで、博物館で大量の展示物を見たあとのような疲労感が残るね。

ジャック=ボセ・ギヨーム=ド=ロビエ『世界図書館遺産: 壮麗なるクラシックライブラリー23選』創元社

図書館の写真集も一冊欲しかったのだけど、さきごろ良さそうな本を発見したので購入してみる。内容は「ヨーロッパを中心に世界12カ国、計23館の何にも代えがたい歴史的に貴重なクラシカルライブラリーを紹介」したもの。掲載されている図書館自体が美術品のようで、大変な豪華絢爛さ。ちょっと現実離れした世界である。出版は2018年なので、わりと最近。

椋橋彩香『タイの地獄寺』青弓社

タイにある「地獄寺」の何が面白いのかといえば、亡者や精霊の「造形」。地獄思想や地獄絵図自体は世界中に存在するのだけれど、不気味さやリアルさではタイが頭ひとつ抜けている印象である。これは信仰が現在進行形で生きているからだろうか。日本の仏教美術などは非常に洗練されているけれども、反面生々しさのようなものは抜け落ちてしまっている気がします。

MdN編集部『美しい廃墟—日本編— 耽美な世界観を表す日本の廃墟たち』エムディエヌコーポレーション

廃墟写真集を一冊本棚に置いておきたくて探し、評判が良さそうだった本書をチョイス。一時価格が高騰していたので購入を見送っていたのだけれど、値段も落ち着いてきたようなので注文する。さっそく内容を確認したところ、構図も色彩も良さげな写真が多くて満足。中身を確認できない写真集などを通販で買うのは一種のギャンブルなのだけれど、こればかりは「買ってみないと分らない」ので仕方がないのだよね。多くの古書は店頭には並んでいないしねえ。

高橋秀治『アンドリュー・ワイエス作品集』東京美術

ワイエスの作品集が2017年に出ているのを見つけて買ってみる。未見の作品が多く載っていて良い。分かり易く美しいテンペラ画ゆえに、一般に人気のある画家だけれど、反面(同じアメリカの画家の)ホッパーと同様、なにか憂愁を感じる画面づくりが独特。しかし、編集があまり良くないのが残念。妙にポップな色で見出しを作ったりして、ちょっと安っぽく感じてしまう。日本の出版物にはこんなのが多い気がするのだけれども、なぜだろう。

ジャン=ルイ=ド=ランビュール『作家の仕事部屋』中央公論新社

50年前に出版されたフランスの作家たちへのインタヴュー集。このほど久しぶりに文庫化されたらしい。目次を眺めただけで、錚々たるメンバーの名前が並んでいるのが分かる。創作作法の本で、執筆術の聞き書きを集めたもの、そういえば持っていなくて欲しかったのだよね。私の要望にあてはまる書籍に思えるから、とりあえず本棚に入れておこう。

諸橋憲一郎『オスとは何で、メスとは何か?─「性スペクトラム」という最前線 』NHK出版

生物学の分野で、性研究の最先端がどうなっているのか知るために購入。例えば辞書で「オス」を引くと「有性生殖をする生物で、精子(雄性配偶子)を作る個体 」などといった説明が出てくるけれども、簡潔にすぎて、これでは何も分からない。最近良く話題になる「LGBT」などの概念を正しく理解するためにも、もう少しちゃんと「性」の意味内容を知っておきたいところである。

デイヴィッド=フォンタナ『シンボルの世界』河出書房新社

同シリーズの『夢の世界』が大変良かったので本書も購入してみた。各種シンボルが何を意味しているか、ざっと頭に入れておくのに便利。西洋文化圏ではある種の「常識」なのかもしれないけれど、日本人には馴染みのない図案が大量に掲載されていて勉強になります。ギリシャ神話や聖書を読んでみても絵がないとイマイチ記憶に残らないから、こういう本はとても助かるなあ。

レナード=ムロディナウ『「感情」は最強の武器である: 「情動的知能」という生存戦略』東洋経済新報社

「情動」の研究、昔に比べてだいぶ進歩しているらしい。一度最新の内容を抑えておきたかったのだけれど、ちょど良い本が出たので買ってみた。長らく「理性と情動の二元論」といった見方が主流だったのだけれど、例によって脳科学やら化心理学の発展によって大きな「パラダイムシフト」が起こったようである。しかしいい加減、積ん読の山を崩していかなければならないなあ……。

サミュエル=シェフラー『死と後世』筑摩書房

2012年にカルフォルニア大学バークレー校で行われた講義をもとにまとめられた、道徳哲学の本。著者のバークレー=タナー教授の著作としては初の邦訳だそう。タイトル通り、「われわれ自身の死後も人類が生存することは、通常認められているよりもわれわれにとってはるかに重要である(「日本語版への序文」より)」という主張らしい。ありそうでなかった視点で、大変面白そうである。

ジョン=T= カシオポ・ウィリアム=パトリック『孤独の科学』河出書房新社

『孤独の科学』が文庫になっているのを見つけたので、とりあえず買っておく。単行本のほうは2010年、文庫化は2018年。「孤独」は哲学や文学ではお馴染みのテーマなのだけれど、科学的な論究をあまり読んだことがなかったので、本書で補っておきたい。ともあれ優先順位の問題で、これもしばらく積ん読かな。関係ないけれども文庫本も高くなったもので、普通サイズの厚みなのに1500円もする。

瀬尾幸子『みそ汁はおかずです』学研プラス

味噌汁を具だくさんにすることによって、調理の手間を省き、同時に栄養も摂れるようにするというコンセプトかしらん。里芋と鶏もも肉の味噌汁なんて大変おいしそうである。瀬尾幸子さんの本は『おつまみ横丁』や『おかず食堂』などを持っているけれど、写真も大きく、読みやすくて良いです。目指せ時短料理。

ズンク=アーレンス『TAKE NOTES!――メモで、あなただけのアウトプットが自然にできるようになる』日経BP

社会学者ニクラス=ルーマン考案の「ツェッテルカステン」の入門書。『知的生産の技術』の内容とよく似ているけれども、本書の方が解説が分かりやすい気がする。ところで持っている知的生産術に関する本を数えてみた。『独学大全』『創造の方法学』『問題解決大全』『アイデア大全』『アイデアの作り方』『知的生産の技術』『発想法』など。色々読んでいるのだけれど、自分なりの方法がまだ確立できていないのだよなあ。

和田久士『ヨーロッパの家 1: 伝統の町並み・住まいを訪ねて』 ‎ 講談社

イギリスの村落の写真集『Picture Perfect English Villages』には室内の様子があまり載っていなかったので、その部分を補うために購入。「ヨーロッパの家」シリーズは「家とインテリア」に特化した内容である。全4巻で、地域別に「①イギリス・アイルランド・北欧」「②フランス・スペイン」「③オランダ・ドイツ・スイス・オーストリア」「④イタリア・ギリシア・ポルトガル」と分かれている。とりあえず第1巻だけ手に入れておけば良いかしら。余力があれば、続刊も購入しよう。

James Bentley『Picture Perfect English Villages』Thames & Hudson Ltd

趣味の本。イギリス村落の写真集である。数百円で投げ売りされていたので、ハズレ覚悟で買ってみる。類書は他にも沢山あったのだけれど、本書は美しい写真が多く、眺めて楽しむのに適している感じ。概ね満足できる内容なのだけれど、惜しむらくは室内の様子をもう少し掲載して欲しかったなあ。まあ、そちらは別の本で補うことにしよう。

康海飛『新装版 図解ですべてわかる世界の装飾デザイン見本帳』エクスナレッジ

装飾デザインの資料集。「古代ギリシアや中国、近現代の施設まで、世界の室内装飾デザインや寸法資料を 5,000点以上収録! 」とある通り、すさまじい点数のイラストが載っておりお買い得感が強い。写真資料だけでは分かりづらかった、装飾・文様の細部や全体像を把握するのにも適している。個人的には『建物できるまで図鑑』あたりと合わせて読んでおけば、近現代建築物についての知識欲求、十分満たすことができそうだ。

ウルリッヒ=ビショッフ『エドヴァール・ムンク』タッシェン・ジャパン

安価で売っていたのでムンクの小画集を買う。これも例によってタッシェンだけれど、値段で考えるとどうしてもこのシリーズになってしまう。ムンクは学生時代から好きな作家だが、改めてその原因を考えてみると、どうもその精神分析的な画面構成と色彩が私好みなのだなあ。これはエドワード=ホッパーやビル=ブラント、つげ義春やシュヴァンクマイエルの作品が好きなのと同じ理由だよねえ。シュルレアリスムに近しい作品を好むのは小説や映画でも同じことだから、これが私の性癖であり趣味嗜好なのだろうね。

エーリヒ=アウエルバッハ『中世の言語と読者─ラテン語から民衆語へ』八坂書房

西洋文学史の教科書としてアウエルバッハの『ミメーシス』を持っているのだけれど、本書はその「補完」として書かれたものらしい。具体的には「第三章と第五章のあいだの隙間を埋めるためにもくろまれた試み(「訳者あとがき」より)」だそう。とりあえず買っておくが、しばらく積ん読である。ところで『積読こそが完全な読書術である』という本があったよなあ。同じ作者が『再読だけが創造的な読書術である 』という本を先ごろ、出版していたような気がする。どちらも面白そうなタイトルである。

アーヴィング=L=ジャニス『集団浅慮ー政策決定と大失敗の心理学的研究』新曜社

政策決定上しばしばみられる「明らかに愚かしい判断」がどういう事情で行われるのかを、社会心理学の観点から考察した本。著者はその現象に「集団浅慮」という名前をつけたのだけれど、内容を流し読みする限り、これはいわゆる「エコーチェンバー」という作用にも似ているような印象を受ける。あるいはカーネマン『ファスト&スロー』で説明されていたような「人間の判断エラー」に基づくような現象なのかもしれない。いずれにせよ、本書もしばらくは積ん読になりそう。

べッセル=ヴァン=デア=コーク『身体はトラウマを記録する―脳・心・体のつながりと回復のための手法』紀伊國屋書店

心的外傷(トラウマ)という概念は非常に有名なのだけれど、実際にはどういったものなのだろうか。辞書的には「外的内的要因による肉体的及び精神的な衝撃(外傷的出来事)を受けた事で、長い間それにとらわれてしまう状態で、また否定的な影響を持っていること(Wikipedia)」と書かれているが、これだけではちっとも分からない。そこで専門書を一冊、用意しておくことにする。優先順位の問題でしばらく積ん読になりそうだけれども。

Max Ernst『Une Semaine De Bonte: A Surrealistic Novel in Collage』Dover Publications

『百頭女』と同じような、マックス=エルンストのコラージュ集のひとつ。クラシカルなモノクロイラストは、独特の趣が感じられて良いものである。「『Une Semaine De Bonté』は、1934年に各1,000部以下の5冊の小冊子として刊行され、本書まで一度も再版されたことはありません。シュルレアリスムとその作品、コラージュ、視覚的錯覚、夢の幻影、夢の解釈に興味を持つ人にとって、この本は大きな資料であり、大きな楽しみである」(紹介文より)。シュルレアリスムの画集はもう少し集めたいものだなあ。

クリス=フィッチ『図説 世界地下名所百科:イスタンブールの沈没宮殿、メキシコの麻薬密輸トンネルから首都圏外郭放水路まで』原書房

『地下世界をめぐる冒険』と合わせて読むために購入。この本は「図説」と題されている通り、写真や地図が多く、「地下世界」のイメージがつかみやすい。書名から想像されるイメージに反して学術寄りの内容で、記述はしっかりしている。「あとがき」によれば著者はイギリスの地理学者だそうで、ちゃんとした研究者なのね。納得である。

リトヴァ=コヴァライネン・サンニ=セッポ『フィンランド・森の精霊と旅をする – Tree People』プロダクション・エイシア

趣味の本。フィンランドの森林風景、特に「樹木」にフォーカスした小さな写真集。日本やアメリカの森とはまた少し違う、ちょっと寒々しい景色が私好み。比較すると現代日本の森はどこに行っても植林の杉だらけで、まったく面白みに欠ける。アンセル=アダムズのヨセミテの風景写真も良いけれど、こちらは逆に雄大に過ぎて近寄りがたさを感じてしまうのだよねえ。

サイモン=マッカーシー=ジョーンズ『悪意の科学: 意地悪な行動はなぜ進化し社会を動かしているのか?』インターシフト

世界の抱える問題の多くが、この「悪意」というものから発しているように見えるにも関わらず、研究が不十分であると思っていたところ、本書を発見。出版されたばかりの本なので、内容も最新の知見に基づいているようだ。初っ端の「悪意の定義」の一文から、目からウロコである。いわく悪意のある行動とは「他者を傷付け害を与え、かつその過程で自分にも害が及ぶ行動」である(デヴィッド=マーカス)。一見不合理に見えるこういった行為が、進化上どうやって獲得されてきたのだろうかねえ。大変に興味深いことである。

モリー=バング『絵には何が描かれているのか ──絵本から学ぶイメージとデザインの基本原則』フィルムアート社

「形、線、色、空間、大きさ……絵を構成する要素は、何を、どう伝えているのか?人の感情を惹きつけるために、それらは具体的にどのように作用しているのか?イメージを本当に理解することとはどういうことか?世界各国で読み継がれてきた「ビジュアル・リテラシーの教科書」の古典、待望の翻訳」(惹句より)。画像の構成要素が心理に与える影響を平易な言葉で解説したテキスト。絵画のみならず写真やアニメーションにも当てはまりそうな内容である。昔から「三角構図は安定感を表す」「赤は情熱と危険を表す」などと言われてきたけれど、その理由もおそらくは進化心理学的な観点から読み解けるものなのだろうなあ。