長谷川宏『新しいヘーゲル』講談社

哲学書を読む上で、注釈書を揃えるという計画、三人目はヘーゲル。本の内容とは関係ないが、思うに哲学の“分からなさ”って、直感的に「哲学とはコレコレこういうものである」といった具合に理解することが出来ない部分にあるのではないか。「◯◯とは✕✕である」という答え方は、実はその分野の一通りを概観して初めて言えるものなのだろうけど、哲学史は「概観」するのすら一筋縄ではいかないという困難さ。

石川文康『カント入門』筑摩書房

哲学書を読む上で、注釈書を揃えるという計画、二人目はイマヌエル=カント。どういった基準で選書をしているのかといえば、「20世紀に最も言及された順・哲学者編」から採っている。ちなみに上位20位は以下の通り。カント・アリストテレス・プラトン・ヘーゲル・マルクス・トマス=アクィナス・ハイデガー・ウィトゲンシュタイン・ヒューム・デカルト・フッサール・ニーチェ・ラッセル・サルトル・クワイン・デューイ・ロック・ライプニッツ・アウグスティヌス・ホワイトヘッド。

野田又夫『デカルト』岩波書店

哲学というのは面倒くさくて、読んでもちっともわからないわりには様々な書物で前提として扱われ、あるいは引用されるので全く知らないというわけにもいかず。「古典は注釈書と一緒に読むもの」だ、と『独学大全』に書かれていたので、代表的な哲学者だけはサブテキストを揃えておこう。まずは、「近代哲学の祖」と呼ばれるルネ=デカルト。

借金玉『発達障害サバイバルガイド 「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』ダイヤモンド社

キャッチフレーズは「日本一意識の低い自己啓発本」。発達障害者でも、比較的まともな生活を維持できるよう、必要なテクニックを集めた本。生活習慣という“文化資本”を十分には受け取ることができなかった身としては、この種のライフハック集が役に立つ。不要な人には、本当にいらない本だろうけれど。

マシュー=L=トンプキンス『トリックといかさま図鑑 奇術・心霊・超能力・錯誤の歴史』日経ナショナルジオグラフィック社

『詐欺とペテンの大百科』とセットで読むために。図鑑というだけあって写真や図版が満載で楽しい。心霊現象や降霊術、自動人形に脱出ショー、超能力カードなどなど。好きな人間にはたまらないテーマ。著者は米国の実験心理学者で、元マジシャンという変わった経歴の人。

伊勢田哲治『疑似科学と科学の哲学』名古屋大学出版会

科学哲学の教科書。学術的なテーマの本を読む上では、「科学的方法とそうでないものの違い」について抑えておきたいところ。本書は占星術・超能力・代替医療などの疑似科学を例に取りながら「科学とはなにか」について考察していく。かなり歯ごたえがありそうな内容で、読了まで時間がかかりそう。

エリック=ウィリアムズ『資本主義と奴隷制』筑摩書房

産業革命は奴隷制による収奪の上に成立したのであって、「プロテスタンティズムの倫理」によって成されたのではない、という主張。大著であり、しばらく積ん読になりそう。内容が重苦しそうだから、読むのに気力が必要だろうなあ。調べてみたらこの本、1944年に書かれており、ずいぶんと古い。

ジョン=アレン『美食のサピエンス史』羊土社

これもつい先日出版されたばかりの本。神経科学や進化生物学といった方面から見た「食」に関する考察。ちかごろ買う本が、この手の進化心理学的な方面に偏りすぎているような気もするので、本書でしばらく打ち止めにしよう。分類を心理学ではなく、歴史のほうにしたのは、「食物史」のサブテキストとして読んでいるため。

ナシア=ガミー『一流の狂気 心の病がリーダーを強くする』日本評論社

タイトルがなにやらビジネス書っぽいが、精神科医による病跡学の本である。最近この分野はあまり流行らないらしく、類書があまり無いような気がする。世界各国のリーダーとまでは言わずとも、身の回りには(良くも悪くも)“普通”ではない思考方法をしている人々が目につくし、彼らのことをもう少し理解してみたいものだ。

ジェームス=F=ルール『地球大図鑑 EARTH』ネコ・パブリッシング

その名の通りの大図鑑で、私の持っている本の中でもっとも巨大なのではないか。地球惑星科学や地理学のテキスト、文章中心で写真があまりないので、その辺を補うために購入。これもやはりDK社製である。同じシリーズである『宇宙大図鑑』や『海洋大図鑑』も、いずれは手に入れたいなあ。

エラ=バーサド・スーザン=エルダキン『文学効能事典 あなたの悩みに効く小説』フィルムアート社

『人生処方詩集』と似たようなタイトルだけれど、こちらは事典。取り上げられている小説は202篇。常々、私が文学作品を読むときは何らかの「薬効」を求めていることが多いのだよなあ、と思っていたのだが、ドンピシャな内容の本である。読み物でもあり、読書案内としても使えそう。

ジェームズ=C=スコット『反穀物の人類史 国家誕生のディープヒストリー』みすず書房

『家畜化という進化』の項目にも書いたが、「人類の歴史」において畜産と並んで重要な要素である「農耕」について、最新の学説を知るために読んでおく。従来言われていた「農業によって食料の生産性が飛躍的に高まり、文明が発展した」というような説明、今では過去のものになっているらしい。

A=N=L=マンビー『アラバスターの手 マンビー古書怪談集』国書刊行会

出版されたばかりの短篇集。イギリスの文献学者である著者が、戦時中にドイツの収容所で書いたという変わった来歴の本。「古書怪談集」という副題につられ、つい購入してしまった。マンビーの名前は河出文庫の『イギリス怪談集』でちょっと目にしたぐらいで、ほとんど予備知識無し。まあ、たまにはこういう読書も良し……。

ジョナサン=ハイト『社会はなぜ左と右にわかれるのか―対立を超えるための道徳心理学』紀伊國屋書店

本書もしばらく積ん読に(以下略)。「道徳基板理論」による、保守とリベラルの起源分析。この本も、進化生物学や進化心理学の知見に影響を受けている。政治的対立をメタ視点で眺めることができたほうが、冷静かつ論理的に判断する為には良いんだろうなあ。「システム1」と「システム2」(『ファスト&スロー』)の対立がここにも。

アイプラフ『超図解で全部わかる インテリアデザイン入門 増補改訂版』エクスナレッジ

実用書。何冊かインテリア写真集を持っているが、理論編も欲しくなって購入。初心者向けに易しく書かれているので読みやすそうである。自室で作業をすることが多いので、どうしても部屋の環境を整えたくなるのだよねえ。環境心理学などというものも少し学んでみるべきか。

小坂井敏晶『増補 責任という虚構』筑摩書房

本書もしばらく積ん読に(以下略)。神経科学や進化心理学などを学ぶにつれ、人間に「自由意志」など、なかば存在しないのではないか、と思えてくる。となると、自由意志が前提となる「責任」とは何だろうか。その辺の問題を論じた哲学書。タイトルに惹かれて購入したのだが未読。500頁超もあるので、これまた時間がかかりそう。

五百田達成『超雑談力 人づきあいがラクになる 誰とでも信頼関係が築ける』ディスカヴァー・トゥエンティワン

「雑談」というものが苦手で、ハウツー本など読んでみる。本書の主張を要約すれば「雑談は相手との関係調整の手段であって、情報交換を目的としているわけではない」となるだろうか。言ってみれば「身だしなみを整える」のと同じく、好むと好まざるとに関わらず、誰もが身につけておくべきスキル。この種の知識も、周囲から教わったことがなかったな。

リチャード=C=フランシス『家畜化という進化 人間はいかに動物を変えたか』 白揚社

本書もしばらく積ん読になりそう。野生生物の家畜化から、人類の「自己家畜化」までを視野に入れた内容。家畜化と農耕については人類史の重要な両輪なので、一応頭に入れておきたい。農耕の分野に関しては、『反穀物の人類史 国家誕生のディープヒストリー』なども、手に入れておきたい一冊。

ジュリアン=ショウ『脳はなぜ都合よく記憶するのか 記憶科学が教える脳と人間の不思議』講談社

『意識の進化的起源』と一緒に読むために。「感情・記憶・意識」の三つは渾然一体となっていて、それぞれの特性がわからなければ十分に理解したとは言えないようだ。本書は「記憶」がどういった過程を経て「作られるか」について述べる。これを読了したら、しばらく神経科学や進化心理学から離れて哲学的な書物のほうに行く予定。たぶん。

トッド=E=ファインバーグ・ジョン=M=マラット『意識の進化的起源: カンブリア爆発で心は生まれた』勁草書房

ここ最近歯ごたえのある本ばかり購入しており、読み終わるまでしばらく時間がかかりそう。「意識とは何か」という問い、科学では答えにくい問題らしく、哲学的なアプローチをする本が多かった。本書は意識の起源を「神経生物学」の視点も交えて解明しようとする。昔なら読みこなせなかっただろうが、今ならいけるだろうか。

読書猿『独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』ダイヤモンド社

辞典のような分厚さに笑ってしまう本。内容は文句なく素晴らしい。欲を言えば本書では扱われない「独学者の食事」「独学者の睡眠」「独学者の書斎術」「独学者の運動」「独学者の交友関係」などなどを追加し、『独学大全・全五巻』などに進化すると楽しそう。まあ、それは自分で各分野を書架に並べろ、ということか。

川口拓『ブッシュクラフト-大人の野遊びマニュアル: サバイバル技術で楽しむ新しいキャンプスタイル 』誠文堂新光社

趣味の本。「ブッシュクラフト」という耳慣れない言葉、定義はハッキリしないが、要するにアウトドアで生活する技術や知恵のことだそう。通常のキャンプと違い、できるだけ便利道具を使わず自然物を利用する点、お財布に優しそうで良い。ナイフ一本にタープ(広い布)・パラコード(ロープ)・コッヘルのみで一夜を過ごすのは(日本において現実的かどうかは別として)ロマンだよなあ。

カール=シファキス『詐欺とペテンの大百科』青土社

書名の通り、詐欺とペテンについての百科事典。膨大な数の事例が載っていて楽しい。しかし、どのカテゴリーに分類するか悩ましいところ。犯罪心理学が近いのかもしれないけれど、詐欺行為の歴史書として捉えることもできる。ということでインテレクチュアル=ヒストリーの一種として、「歴史」の棚に入れておくことにする。

勝又進『赤い雪』青林工藝舎

水木しげる・つげ義春の両氏が絶賛していたとのことで買ってみる。赤松啓介さんの民族誌と民話を混ぜたような、ファンタジックな読後感を持った作品集。収録されている作品は1970年台に発表されたものが中心でやや古めかしいが、それが懐かしさにつながっているような気もする。

三土たつお『街角図鑑 街と境界編』実業之日本社

『街角図鑑』の続編。項目は以下のとおり。配管・足場・玄関灯・室外機・ガスメーター・電気メーター・給水塔・商店街・神社・路上園芸・残余地・道路・交差点・坂道・階段・歩道橋・踏切・橋脚・見える地下・東屋・公園遊具・パーキングスケープ・駐車場・川・ダム・田んぼ・畑・橋・トンネル・鉄塔など。前巻同様、眺めているだけで「風景の解像度が格段に上がったかのような」感覚を覚える図鑑。