Alt236『リミナルスペース─新しい恐怖の美学』フィルムアート社

ハンマースホイやホッパーやボルヘス、キューブリック、サイレントヒルといった作品群に惹かれるのって画面に漂う「ノスタルジア」によるのだと思っていたけれど、どうも違うらしい。新しい美学的概念、「リミナル」というもの、この本で勉強しよう。この本に載っているイメージ、好みのど真ん中である。

ウェイン=F=ミラー『子どもの瞬間』福音館書店

「ウェイン・F・ミラーは、人それぞれの個性を追求するため、その源を、真摯で、豊かな感情と可能性に満ちた子どもの日々に求めました。まず最初に、自分が一番よく知っている子どもたち――自身の四人の子どもに焦点をあて、それからまわりの子どもたちに視野を拡げていきました。アメリカ合衆国のサンフランシスコの対岸に位置する丘の上の町オリンダで学び、成長していったたくさんの子どもたち。その日常生活のさまざまな経験を、ミラーはひとつひとつすくい上げていったのです。1955年から3年にわたって撮られた子どもたちの生き生きとした姿は、40年近くたった現在もページをひらく人にあらたな感動を与えることでしょう。」(惹句より)。“子供たちの日常生活の画像イメージ”参考用として。意外と適当な資料が無い分野なのよね。

原研二『グロテスクの部屋─人工洞窟と書斎のアナロギア』作品社

<ルネサンスの爛熟する16世紀イタリアの大貴族の荘園には「グロッタ」という名の人工洞窟が口を開けていた。人工の極みをもって、始源の楽園を造ろうとする倒錯を解き明かす初めてのグロッタ論(説明文より)>。図版がたくさん掲載されている。イメージ資料用に、と古書で購入。ヴンダーカンマーよりもスケールの大きな「人工洞窟」というの、一度実物を見て見たいものである。

マラン=モンタギュ『フランスの不思議なアンティークコレクション─心くすぐる骨董品が並ぶアトリエや個人美術館』ホビージャパン

タイトルの通り、様々なジャンルの骨董品が掲載された写真集。ヴンダーカンマー好きとしてはつい購入してしまったが、中身のボリュームにしては安価な書籍で良い。著者は本来、イラストレーター・デザイナーを生業としている人のようだ。アンティーク雑貨について詳しくなるためには、ひたすら数を見るしかなく、こういった本でも勉強中である。

都築響一『HELL─地獄の歩き方・タイランド編』洋泉社

椋橋彩香『タイの地獄寺』が研究書で、こちらは具体的な作品群の写真集である。長らく値段が高騰していたのだけれど、BOOKOFFオンラインから入荷の通知あり。市価の半額以下の値段がつけられていたので即買い。地獄寺の亡者の造形や地獄の表現方法、素朴かつ醜悪なんだけれど、どこか惹かれるものがあるのだ。

フランソワ=リヴィエール・ガブリエル=ヴィトコップ 『グラン=ギニョル─恐怖の劇場』未来社

「グラン・ギニョール(仏: Grand Guignol)は、フランス、パリに19世紀末から20世紀半ばまで存在した大衆芝居・見世物小屋のグラン・ギニョール劇場(Le Théâtre du Grand-Guignol)のこと。(Wikipediaより)」ホラーやスプラッタの源流らしく、興味を惹かれて購入。グラン=ギニョルについて日本語で読める研究は今のところ、本書のみだそう。

アンドレイ=タルコフスキー『映像のポエジア―刻印された時間』筑摩書房

(旧)ソ連の映画監督であるタルコフスキーの著書。ざっと眺めてみたのだけれど、哲学的かつ曖昧な表現の連続で難解な事この上ない。最近は論理的で平明な文章ばかり読んでいたので、こういった文体は懐かしい気がする。映画作品自体も抽象的なイメージが多い監督さんなのでまあ、印象どおりではある。

Jan Saudek『Jan Saudek』Taschen America Llc

ヤン=シュヴァンクマイエル作品の雰囲気が好きなのだけれど、他に面白いチェコの作家がいないか調べていて見つけた写真家さん。「ソーデックの作品でとくに有名なものは、19世紀中頃のポルノグラフィック写真家たちの活人画、画家バルテュスの絵、ベルナール・フォコン(Bernard Faucon)の写真を思わせる、むきだしの石膏壁あるいは背景幕(曇った空、プラハのカレル橋といった要素が何度も再使用されている)で創られた絵画的な無幻世界の中にいる裸もしくは半裸の人物の着色肖像写真である。」(Wikipediaより)

籾山昌夫『レーピンとロシア近代絵画の煌めき』東京美術

イワン=シーシキンの絵を見たくて買った本だけれど、ロシア近代絵画の画家たちの作品をざっと眺めることができて良い。東京美術の「トービセレクション」というシリーズの一冊らしい。既刊を見ると、なかなかしぶいラインナップである。ただ、ページ数に比して値段がちょっとお高めなのがネックだなあ。

青田麻未『「ふつうの暮らし」を美学する─家から考える「日常美学」入門』光文社

美学の一分野として「日常美学」なるものがあるのを知ったのは最近のこと。しかしこのジャンル、入門書があまり無い。今のところ日本語で読めるものは本書くらいだそうなので買ってみる。まあ、しばらく積読になりそうではあるが。分類としては本当は「哲学」の棚に置くものだけど、私の興味関心に従って「美術・芸術」のコーナーへ。

アルフレッド=クービン『Alfred Kubin. Bekenntnisse einer gequaelten Seele』Leopold Museum

ウィーンにあるレオポルド美術館で2022年に開かれたアルフレッド=クビーン展の図録。画集は高価すぎて手が届かず。いろいろ探した結果、本書が1800円で売られているのを見つけて即買い。ドイツ語版だけれど、図版の美しさも紙質も立派なもので満足。

ブラッド=ハニーカット・テリー=スティッケルズ『錯視芸術図鑑ー世界の傑作200点』創元社

錯視芸術を集めた画集。比較的近年の作家の作品が多く、ちょっと思っていたのと違ったけれども、まあ勉強にはなる。そしてアルチンボルドやエッシャーやマグリットの独創性を再確認。この本の良いところは、建築やCG作品など、普段あまりなじみのないものを知ることができる点か。

都築響一『珍世界紀行 ヨーロッパ編』 筑摩書房

ヨーロッパにある、一風変わった博物館を紹介した写真集。テーマ別に分類されていて、カテゴリーは以下の通り。①蝋人形・②超古代・③信仰・④性愛・⑤暴力・⑥病理・⑦アウトサイダー・⑧蒐集・⑨人文/社会科学・⑩観光・⑪カタコンベ。ヴンダーカンマー的な蒐集物が多く載っていて楽しい。

ミハエラ=ノロック『世界の美しい女性たち-THE ATLAS OF BEAUTY–世界の女性たち 約550名のポートレート-』パイインターナショナル

世界中で撮られた、大量の女性ポートレート集。写真資料集として使うために購入。民族衣装姿が多いので服飾の参考にもなりそうで良い。本書の男性版の写真集があれば買うのだけれど、今のところ出版されていないようだ。ほかにも「顔の美醜とは何か」などのテーマを考える際にも役立ちそうな感じ。

川島宙次『絵で見るヨーロッパの民家』相模書房

同著者による『民家のデザイン』(日本編・世界編)という立派な本もあったのだけれど、ちょっとお値段が張る。少し探したら「ヨーロッパの民家」に特化したものが中古で安く売られており、こちらを購入。写真集だけでは分からない、家の間取りや装飾の細部が理解しやすくて大変良い。いずれ「日本編」も手に入れたいなあ。

ヴァルター=シューリアン『幻想美術 Fantastic Art』タッシェン・ジャパン

「ファンタスティック・アート」と目されるアーティストの作品を一枚づつ、35人分掲載した小画集。シュールレアリズムやマジックリアリズムとはまた違った毛色の作品が入ってきて興味深い。オーストリアの画家アルフレート=クビーンという名前を初めて知ったのだけれど、とても私の好みだなあ。

吉田良『吉田式球体関節人形制作技法書』ホビージャパン

「世界人形大図鑑」のような内容の本が欲しいのだけれど、見つからないのでとりあえず本書を。球体関節人形と言えば昔、四谷シモン『人形愛』という写真集を持っていたような気がする。吉田良さんの人形は比べると癖が少なくて、一般人にも鑑賞しやすい感じ。Wikipediaによれば「日本に於ける球体関節人形の草分け的存在としてその名を知られる」作家さんだそうな。

エドワード=ゴーリー『ギャシュリークラムのちびっ子たち: または 遠出のあとで』河出書房新社

ゴーリーの絵本は前から読んでみたかったので、このほど代表作のひとつ『ギャシュリークラムのちびっ子たち』を購入。ナンセンス詩っぽい内容で、ちょっと不気味な感じ。絵柄が可愛らしいのでさほど怖くはないけれども。

ポール=デルヴォー『アート・ギャラリー現代世界の美術 (19) デルヴォー』集英社

デルヴォーの画集の中で最も安かったので購入(1300円くらい)。マグリットやキリコの絵に抒情とエロティシズムを足したような作風。今見ると少し古めかしい雰囲気を感じるけれど、それがまた私好み。「アート・ギャラリー現代世界の美術 」というシリーズを始めて買ったけど、四角い変型判なので本棚に入れるのが少し難しい。

キャサリン=デューン 写真集 デスシーン・死体のある光景』第三書館

<カリフォルニアの殺人捜査刑事が個人観賞用に収集した膨大な「死体のある風景」のスクラップを残して死んだ。衝撃の殺害死体無修正版写真集>(紹介文より)。ミステリ小説なんかを読むときの脳内イメージを拡充するために一読。法医学の教科書にも同様の写真は載っているのだけれど、やはり撮り方がまったく違うのでこちらはこちらで面白い。モノクロ写真なので「グロさ」は比較的薄い。

アントニー=ゴームリー・マーティン=ゲイフォード『彫刻の歴史: 先史時代から現代まで』東京書籍

美術史や絵画史のテキストはすでに持っているので次は「彫刻の歴史」に目を通しておく。立体作品にはまったく不案内で、せめて最低限の知識は持っておきたい。本書は写真が多く初学者にもやさしそうで良い。本文を飛ばして図版を眺めるだけで、博物館で大量の展示物を見たあとのような疲労感が残るね。

椋橋彩香『タイの地獄寺』青弓社

タイにある「地獄寺」の何が面白いのかといえば、亡者や精霊の「造形」。地獄思想や地獄絵図自体は世界中に存在するのだけれど、不気味さやリアルさではタイが頭ひとつ抜けている印象である。これは信仰が現在進行形で生きているからだろうか。日本の仏教美術などは非常に洗練されているけれども、反面生々しさのようなものは抜け落ちてしまっている気がします。

MdN編集部『美しい廃墟—日本編— 耽美な世界観を表す日本の廃墟たち』エムディエヌコーポレーション

廃墟写真集を一冊本棚に置いておきたくて探し、評判が良さそうだった本書をチョイス。一時価格が高騰していたので購入を見送っていたのだけれど、値段も落ち着いてきたようなので注文する。さっそく内容を確認したところ、構図も色彩も良さげな写真が多くて満足。中身を確認できない写真集などを通販で買うのは一種のギャンブルなのだけれど、こればかりは「買ってみないと分らない」ので仕方がないのだよね。多くの古書は店頭には並んでいないしねえ。

高橋秀治『アンドリュー・ワイエス作品集』東京美術

ワイエスの作品集が2017年に出ているのを見つけて買ってみる。未見の作品が多く載っていて良い。分かり易く美しいテンペラ画ゆえに、一般に人気のある画家だけれど、反面(同じアメリカの画家の)ホッパーと同様、なにか憂愁を感じる画面づくりが独特。しかし、編集があまり良くないのが残念。妙にポップな色で見出しを作ったりして、ちょっと安っぽく感じてしまう。日本の出版物にはこんなのが多い気がするのだけれども、なぜだろう。

ウルリッヒ=ビショッフ『エドヴァール・ムンク』タッシェン・ジャパン

安価で売っていたのでムンクの小画集を買う。これも例によってタッシェンだけれど、値段で考えるとどうしてもこのシリーズになってしまう。ムンクは学生時代から好きな作家だが、改めてその原因を考えてみると、どうもその精神分析的な画面構成と色彩が私好みなのだなあ。これはエドワード=ホッパーやビル=ブラント、つげ義春やシュヴァンクマイエルの作品が好きなのと同じ理由だよねえ。シュルレアリスムに近しい作品を好むのは小説や映画でも同じことだから、これが私の性癖であり趣味嗜好なのだろうね。