DK社(編)・黒川正剛(監)『霊界の書─世界の幽霊・怪奇譚・超常現象』グラフィック社

新刊で、発売後しばらく経つにも関わらずレビューが一つもついておらず、内容が分からない。仕方がないのでギャンブル的に購入。同じくDK社の『魔術の書』を補完する意味で、悪くない内容だと思うのだけれど。特に怪異や霊的現象のビジュアルイメージ資料として使えそうで良い。

マルタン=モネスティエ『図説死刑全書』 原書房

拷問や死刑にまつわる資料を一冊持っておこうと思い、古書で安価に手に入る本書を選ぶ。目次を見ただけでお腹いっぱいになるような文字列が並んでおり、一気に読むのは難しそう。若い頃はこの手の記述を読んでも何も感じなかったのだけれど、最近少し苦手になってきたのが不思議である。映画や小説でも、人が不幸な目にあう話全般、「現実だけで十分」だと感じることが多い。こういう現象にはなにか名前でも付いているのかな。

シダルタ=リベイロ『夢は人類をどう変えてきたのか─夢の歴史と科学』作品社

ある一つのテーマについて知りたいときに、よく「~の文化史」といったタイトルの本を探すことが多いけれど、本書は「夢」に関する文化史みたいなものなのかな。買っただけで未読なので確かなことは言えないが、店頭にあるうちに手に入れておかないと、すぐに絶版になって価格が高騰してしまうので仕方がない。著者の経歴が凄いのでハズレはなさそうではある。「シダルリ=リベイロ/ブラジルのリオグランデ・ド・ノルテ連邦大学脳研究所の創設者で初代所長、神経科学科教授。ロックフェラー大学で動物行動学の博士号を取得。研究テーマは、記憶、睡眠と夢、ニューロンの可塑性、人間以外の動物の記号能力、計算精神医学、幻覚剤、薬物政策など多岐にわたる。2016 年、ラテンアメリカ科学アカデミー(ACAL)会員にノミネート。近年は年間5‒6 本の論文を発表(共著含)。神経科学、夢、薬物、政治、教育などについての記事をブラジルの日刊紙や学術誌に寄稿。」

アンナ=アルテール・ペリーヌ=シェルシェーヴ『体位の文化史』作品社

タイトルは『体位の文化史』だけれど、さほど学術的な内容でなく言ってみれば「世界の春画集」といった趣。西洋・日本・中国・インドなどからそういった図版が大量に集められている。少し前に手に入れた『奇怪動物百科』と同様、「史料的価値がありそうな古めかしい」絵が好みなので、こういった選書になりがち。木版・銅板・フレスコ画などの素朴な表現が味わい深い。

池上俊一(監)・DK社(編)『魔術の書』グラフィック社

魔術や魔法について書かれたものとしては『魔法 その歴史と正体』という名著をすでに持っているのだけれど、加えてもう一冊、図版中心の本である『魔術の書』を書架に加える。シュルレアリスムやマジックリアリズム・魔法物語の読解・ユング心理学の理解に「魔法(魔術・錬金術・占星術などなど)の基礎知識が欠かせないのだよねえ。充実した内容であるにも関わらず、価格も安くてお買い得である。

加太こうじ(著)・田沼武能(編)・木村伊兵衛(写真)『木村伊兵衛の昭和』筑摩書房

「日本のブレッソン」こと木村伊兵衛の写真集。最近写真集をよく購入しているが、脳内の視覚イメージ強化のためである。本当は須藤功『写真ものがたり 昭和の暮らし』(全10巻)あたりが欲しいのだけれど、予算の都合上断念。かわりに昭和の風景資料として本書を選んだ次第。奥付を見ると1990年刊で、もう30年以上前の本になるのだねえ。「ちくまライブラリー」なんて久しぶりに手にとった気がします。

アビゲイル=タッカー『猫はこうして地球を征服した: 人の脳からインターネット、生態系まで』インターシフト

猫についての雑学をまとめた読み物。図鑑や医学書には書かれていない、雑多な知識を補完するために読んでおく。以前犬を飼っていたために猫も似たようなものだと思っていたのだけれど、実際に飼ってみるとこれは似て非なる生き物だと知る。少なくとも「飼いやすさ」の点で言うと、犬とは比較にならないほど楽である。猫関連の本では他に、写真集が一冊欲しいので、なにか適当なものを探す予定。

トニ=マウント『中世イングランドの日常生活: 生活必需品から食事、医療、仕事、治安まで』原書房

『古代ローマ人の24時間』か『古代中国の24時間』のどちらかを読もうと思っていたところ、本書が発売になったのでコチラを購入。先日『中世ヨーロッパの武術』を読んだばかりだったから、というだけの理由である。そういえば『図説 中世ヨーロッパの暮らし』というのも持っていたよなあ、と思い出す。まったく話は変わるが、『東京の生活史』の続編である『大阪の生活史』の制作プロジェクトが進んでいるようで、こちらも刊行が楽しみ。自分の知らない時代・場所の生活史というの、文化心理学的な意味での興味があるのです。

長田龍太『中世ヨーロッパの武術』新紀元社

「中世・ルネッサンス期のヨーロッパの武術を、図解で解説する日本で(おそらく)初めての本」(「はじめに」より)。似たような本は意外と多いのだけど、その中でも飛び抜けて専門性が高そうだったので買ってみる。続刊もあり。こちらは「飛び道具の使用法・盾の使用法・レスリングとボクシングの技術・イスラムの武器と戦法・大釜やフレイルの使用法」といった内容のようだ。『アーサー王と円卓の騎士』だとか『指輪物語』など、西洋武術の知識があるとより楽しめそうな作品も多いのだよね。

ヘンリー=ウォンズブラ 『ヴィジュアル版聖書読解事典』 ‎ 原書房

「聖書との併用を念頭に置いた、現代の読者向けの手引書。旧約聖書、新約聖書はそれぞれ読みやすく区分分けしたうえで、内容のあらすじ、鍵となる引用句、理解を深めるための解説を添えてある(惹句より)」。聖書をいきなり読んでも現代日本人(あるいは少なくとも自分)には理解不能なので、この種の解説本は重宝する。本書は図版も豊富で眺めて楽しめるのも良い。

谷川多佳子『メランコリーの文化史 古代ギリシアから現代精神医学へ』講談社

メランコリーの文化史、というタイトルそのまんまの内容である。古代ギリシアから現代精神医学まで、「憂鬱」の概念がどう変遷してきたのか、教科書的な筆致で述べられる。ありそうで意外と見かけなかった内容なので、一読しておくことにする。著者は心理学や精神医学の人ではなく、17世紀フランス哲学が専門の哲学の先生だそうです。

池澤夏樹・アッバス=キアロスタミ・フリーマン=ダイソン・鄭義・他『百年の愚行 ONE HUNDRED YEARS OF IDIOCY』‎ Think the Earthプロジェクト

分類に困る本だけれど、「人類の愚行史」と解釈して「歴史」の棚へ。本当は『人類愚行事典』のようなものが欲しかったのだけれど、見当たらなかったので本書を購入。内容は写真集っぽい感じ。環境破壊・戦争・貧困・差別・核実験などなど、人類の悪行愚行が掲載されている。見ていて楽しいものではないが、扱われているテーマがテーマなので仕方がないね。

ビル=ブライソン『人体大全 なぜ生まれ、死ぬその日まで無意識に動き続けられるのか』新潮社

医学書の類は『メルクマニュアル』『解剖学カラーアトラス』くらいしか持っていなくて、明らかに手薄な分野。とりあえず易しそうな「読みもの」から、基礎知識を蓄えていこう。出版されたばかりの本書『人体大全』がちょうどよさそうなので買っておく。とりあえず「医学のインテレクチュアル=ヒストリー」と解釈して、「歴史」の棚へ。

マイケル=ラルゴ『図説 死因百科』紀伊國屋書店

むかし読んだコリン=ウィルソン『現代殺人百科』を思い出すような読書感で、雑学読み物として面白い。死因に関するインテレクチュアル=ヒストリーと(強引に)解釈して「歴史」の棚に収める。余談だがこの手の雑学本をどの範囲まで集めるのか迷う。数は多ければ多いほど良いのは当然だけれど、本棚のスペースも人生の残り時間も無限ではないしねえ。

シンシア=バーネット『雨の自然誌』 河出書房新社

「雨」に関するインテレクチュアル=ヒストリー。雨の日が昔から好きで、曇天の柔らかい陽光、ホワイトノイズの混じった雨音、窓から見える雨降りの景色など、どれも良い。そこで雨に関する本を探してみたのだけれど、思ったよりも少なく、やっと見つけたのが本書である。

ウィル=ハント『地下世界をめぐる冒険——闇に隠された人類史』亜紀書房

地下世界についてのインテレクチュアル=ヒストリー。ちょっと分類に迷ったけれど、とりあえず「歴史」の棚に入れておくことにする。神話や夢分析、創作物語では「地下世界」というものが頻出する。例えば神話であれば「冥界巡り」の物語とか。夢分析では穴やトンネルの意味は言うに及ばす。物語で竜がいたり、宝物があったりするの、地底や洞窟であったり。

レベッカ=ソルニット『ウォークス 歩くことの精神史』左右社

「歩くこと」に関するインテレクチュアル=ヒストリー。私の数少ない趣味のひとつが「散歩」で、興味のある分野なのである。ところで最近本の購入速度が読書速度を上回り、未読の本が積み上がってしまって困る。しばらく積ん読を崩すことに専念して、本を増やすのを控えようかしらん。

ルーシー=ワーズリー(著)・ホーリー=ハールバート(監)・戸矢理衣奈(監)『WOMEN 女性たちの世界史 大図鑑』河出書房新社

フェミニズムに関する本、『ひれふせ、女たち:ミソジニーの論理』くらいしか読んでいない気がする。他にはギデンズの『社会学』やセルデン『現代の文学批評』などに少し触れられていた程度。現代人にとっての基礎教養の一つだと思うので、もう少し勉強しておこう。本書は世界史の側面から解説された女性史。図版が多く、読みやすい。

萩原直(監)『新版 東欧を知る事典』平凡社

平凡社から出ている「地域文化を総合的に知る<エリア辞典>シリーズ」の東欧編。地域の歴史文化を一冊の書物に仕上げたユニークな事典である。架空の世界を創造するときの参考書として購入。この事典に載っているくらいの情報量で世界設定できたら、完璧だろうなあ、などと妄想できる。「東欧」なのは、個人的な趣味。

ジャン=ストレフ『フェティシズム全書』作品社

資料集として。「身体の部位・逸脱の人体・感覚器官・体液・下着と装飾品・身体拘束」などについて、豊富な写真を用いて説明してくれる。著者が脚本家・映画監督でもありその種の話が多いのが特徴。反面、学術書ではないので分析的な記述は少ない。フロイトやビネーといった(やや古めかしい)名前が出てくるので何時の本かと思ったら、日本語版は2016年なんだなあ……。

マシュー=L=トンプキンス『トリックといかさま図鑑 奇術・心霊・超能力・錯誤の歴史』日経ナショナルジオグラフィック社

『詐欺とペテンの大百科』とセットで読むために。図鑑というだけあって写真や図版が満載で楽しい。心霊現象や降霊術、自動人形に脱出ショー、超能力カードなどなど。好きな人間にはたまらないテーマ。著者は米国の実験心理学者で、元マジシャンという変わった経歴の人。

ジョン=アレン『美食のサピエンス史』羊土社

これもつい先日出版されたばかりの本。神経科学や進化生物学といった方面から見た「食」に関する考察。ちかごろ買う本が、この手の進化心理学的な方面に偏りすぎているような気もするので、本書でしばらく打ち止めにしよう。分類を心理学ではなく、歴史のほうにしたのは、「食物史」のサブテキストとして読んでいるため。

ジェームズ=C=スコット『反穀物の人類史 国家誕生のディープヒストリー』みすず書房

『家畜化という進化』の項目にも書いたが、「人類の歴史」において畜産と並んで重要な要素である「農耕」について、最新の学説を知るために読んでおく。従来言われていた「農業によって食料の生産性が飛躍的に高まり、文明が発展した」というような説明、今では過去のものになっているらしい。

カール=シファキス『詐欺とペテンの大百科』青土社

書名の通り、詐欺とペテンについての百科事典。膨大な数の事例が載っていて楽しい。しかし、どのカテゴリーに分類するか悩ましいところ。犯罪心理学が近いのかもしれないけれど、詐欺行為の歴史書として捉えることもできる。ということでインテレクチュアル=ヒストリーの一種として、「歴史」の棚に入れておくことにする。

ウォルター=シャイデル『暴力と不平等の人類史: 戦争・革命・崩壊・疫病』東洋経済新報社

歴史上、不平等を是正した要因は戦争・革命・崩壊・疫病の四種しか無かったという主張。災厄とも言える出来事も意外な面で「役に立っている」ことに驚くとともに、人類には不平等や悪徳に対する自浄作用など期待できないという世界観でもあり。本書の分析の妥当性はともかく、大変に刺激的な内容である。