鈴木宏昭『類似と思考 改訂版』筑摩書房

Twitterで知った本。「判断は類推に支えられる。心はどのようなメカニズムを持つのか。“われわれの認知活動を支えるのは、規則やルールではなく、類似を用いた思考=類推である”。(惹句より)」認知科学からみた、類似と思考の関係性についての考察。文学作品読解の一助として読もうと買ったのだけど、カテゴリーとしては(認知)心理学の棚に分類しておく。

前田重治『図説臨床精神分析学』誠信書房

精神分析学は最近ではあまり話題にならないので、テキストも少し古いものが多い。この本も1985年に出版されたものなのだけれど、分かりやすくて評判が良いらしい。『精神分析的人格理論の基礎』と一緒に読むために手に入れておく。いずれ脳神経科学からのエビデンス付きで、精神分析学が再解釈されるであろう、という意見を見かけた事があるが、そうなったら楽しいだろうなあ。

渡辺茂・長谷川寿一『美の起源: アートの行動生物学』共立出版

「美」の起源について行動生物学の知見を用いて考察した小冊子。「美」については、哲学(美学)的なアプローチの著作は数が多いのだけれど、自然科学系のテキストが少なく、なかなか見つけづらかった。ところで関係ないけれど、『分析美学入門』という本が購入予定のリストに入っていたことを、すっかり忘れていた。

ダニエル=カーネマン・ダン=アリエリー・アントニオ=ダマシオ・ライアン=ホリデイ・他『「バカ」の研究』亜紀書房

ホルスト=ガイヤーの『馬鹿について』の日本語訳が1948年。新しい研究はないのかなあ、と思っていたところに出たそのものズバリのタイトル。各ジャンルの著名な学者さんたちに、馬鹿というテーマで執筆依頼あるいはインタヴューしたもの。個人的には、やはり「認知バイアス」が大事なキーワードのように思える。

ナシア=ガミー『一流の狂気 心の病がリーダーを強くする』日本評論社

タイトルがなにやらビジネス書っぽいが、精神科医による病跡学の本である。最近この分野はあまり流行らないらしく、類書があまり無いような気がする。世界各国のリーダーとまでは言わずとも、身の回りには(良くも悪くも)“普通”ではない思考方法をしている人々が目につくし、彼らのことをもう少し理解してみたいものだ。

ジョナサン=ハイト『社会はなぜ左と右にわかれるのか―対立を超えるための道徳心理学』紀伊國屋書店

本書もしばらく積ん読に(以下略)。「道徳基板理論」による、保守とリベラルの起源分析。この本も、進化生物学や進化心理学の知見に影響を受けている。政治的対立をメタ視点で眺めることができたほうが、冷静かつ論理的に判断する為には良いんだろうなあ。「システム1」と「システム2」(『ファスト&スロー』)の対立がここにも。

ジュリアン=ショウ『脳はなぜ都合よく記憶するのか 記憶科学が教える脳と人間の不思議』講談社

『意識の進化的起源』と一緒に読むために。「感情・記憶・意識」の三つは渾然一体となっていて、それぞれの特性がわからなければ十分に理解したとは言えないようだ。本書は「記憶」がどういった過程を経て「作られるか」について述べる。これを読了したら、しばらく神経科学や進化心理学から離れて哲学的な書物のほうに行く予定。たぶん。

トッド=E=ファインバーグ・ジョン=M=マラット『意識の進化的起源: カンブリア爆発で心は生まれた』勁草書房

ここ最近歯ごたえのある本ばかり購入しており、読み終わるまでしばらく時間がかかりそう。「意識とは何か」という問い、科学では答えにくい問題らしく、哲学的なアプローチをする本が多かった。本書は意識の起源を「神経生物学」の視点も交えて解明しようとする。昔なら読みこなせなかっただろうが、今ならいけるだろうか。

エイドリアン=レイン『暴力の解剖学: 神経犯罪学への招待』紀伊國屋書店

犯罪心理学の分野で、ある意味タブー視されてきた(らしい)「犯罪の生物学的要因」について述べた本。容易に優生学じみた言説に利用されそうなので取り扱い注意の扱いを受けるのだろうか。『テキスト 司法・犯罪心理』・『ケースで学ぶ犯罪心理学』の内容を補うために読んでおこう。

大平英樹『感情心理学・入門 』有斐閣

『「感情」から書く脚本術』などといった本を読んでいて「そもそも感情ってなんだ」という疑問が湧きあがり、「感情心理学」の教科書が一冊欲しくなったので本書を購入。『感情心理学ハンドブック』というタイトルの分厚い専門書もあって、こちらも気になるのだが如何せん高価。

ロビン=ダンバー『ことばの起源 -猿の毛づくろい、人のゴシップ』青土社

進化心理学の基礎的文献のひとつ。「一頭の霊長類が把捉できる社会集団のメンバー数は、新皮質の容量によって上限が決められる」といった主張など、大変に刺激的。心理のメカニズムを自然淘汰や適応から説明しようとする考え方は、最初聞いた時には目からウロコであった。

片田珠美『他人を攻撃せずにはいられない人』PHP研究所

「悪」とはなんだろう、と考えるに「虚偽」と「攻撃」が大きなポイントになると思うのだけれど、これは後者について扱った簡単な読み物。虚弱な自我を防衛するために「攻撃」という手段をとる、というのが本書の主張。フロム『悪について』や、ペック『平気でうそをつく人たち』と共に読んで理解しておくべし。

アルノ=グリューン『従順という心の病い―私たちはすでに従順になっている』ヨベル

日本では特にそういう傾向が強いと思うのだけれど、「服従」や「隷属」がある種の美徳とされてきた。指導者や年長者に対して当然のように「従順」を求める雰囲気には常々嫌悪感を抱いていたのだが、そのものズバリのテーマを扱った本を発見。読まねばなるまい。

中野信子『ヒトは「いじめ」をやめられない』小学館

Twitterの投稿で知った小冊子で、「いじめ」の発生する機制を脳科学・認知科学から説明しようとする試み。人間集団の中で「いじめ」や諍い・紛争が起こるのはなぜか、というテーマ、私にとっては長年の関心事である。ちょっと簡便にすぎる内容なので同テーマの専門書も探しておきたいが、とりあえず取っ掛かりの一冊として読む。

ダニエル=ネトル『パーソナリティを科学する―特性5因子であなたがわかる』白揚社

同著者の『幸福の意外な正体』が面白かったので本書も購入。パーソナリティの心理学については『はじめて学ぶパーソナリティ心理学』を書架においていたのだけれど、こちらに差し替える。部屋のスペースの問題で、多くの本を持っておく余裕が無いのである。無念。

ジョセフ=ヘンリック『文化がヒトを進化させた―人類の繁栄と〈文化-遺伝子革命〉』白揚社

進化心理学の説明を読むと湧いてくる、「文化の発展と脳の進化には何か相互の関連があるのではないか」という疑問の解明に取り組んだ本。600ページほどもあり、しばらく積ん読になりそう。読みたい本は芋づる式に増えていくのに、割り振ることのできるリソースは足らず。読書をする人にとっては共通の悩みだろうけれども。

クロード=スティール『ステレオタイプの科学――「社会の刷り込み」は成果にどう影響し、わたしたちは何ができるのか』英治出版

社会心理学の概念「ステレオタイプ脅威」についての本。人の「性格」がアイデンティティの持ち方によって容易に変化することは前々から感じていたところで、この分野の研究を一冊読んでおく。幼少期から刷り込まれ続けたステレオタイプイメージに振り回されないようにするために。

センディル=ムッライナタン・エルダー=シャフィール『いつも「時間がない」あなたに』早川書房

原題は「SCARCITY」であり「(生活必需品などの)不足、欠乏」の意味。邦題のセンスが悪いのはどうにかならぬのか。ドストエフスキーの小説に「金が何よりも醜悪でいやらしいゆえんは、人間に才能をさえ与えるからだ。」というセリフがあるけれど、本書はデータによってこの言葉の意味を説明してくれる。

クリストファー=ライアン『性の進化論――女性のオルガスムは、なぜ霊長類にだけ発達したか?』作品社

進化心理学にハマっている今日この頃だけれど、これはその中でも人類の「性」について扱った書物。前に<「性愛研究の現在」を概観できる本を探したけれども見つからなかったので、とりあえず古典的なバタイユから読んでみる。>などと書いたが、本書がこの要望に近いのではないか、と思い購入。

ニコラス=G=カー『ネット・バカ インターネットがわたしたちの脳にしていること』青土社

インターネットの普及によって、人間の思考はどのように変化するのか。探してみたら、そのものズバリのテーマを扱った本書を発見。図書館と書店しか情報源が無く、紙のノートしか記録媒体がなかった時代と比べ、明らかに「何かが」変わっている実感があるのだけれども。しかし邦題がひどい。原題は『THE SHALLOWS(浅瀬)』である。

ダニエル=ネトル『幸福の意外な正体 ~なぜ私たちは「幸せ」を求めるのか』きずな出版

「ダニエル・ネトルの『目からウロコの幸福学 Happiness: The Science Behind Your Smile』、長らく絶版で古書価格高騰してましたが、改題新訳で別社から(全く別の本っぽい装いで)出たようです」という情報を耳にし、さっそく注文。昔から「幸福論」の類は数多いが、これはその最新版である。

スティーブン=スローマン・フィリップ=ファーンバック『知ってるつもり――無知の科学』早川書房

タイトルからは内容が想像しにくいのだが、認知心理学的なアプローチによる、人間の知性の本質についての論考。一個人の知性以上に所属社会や職業集団の及ぼす影響のほうが重要なのではないかなあ、などと漠然と考えていたのだけれど、そのあたりの疑問を明瞭にしてくれる一冊。しかし近頃進化心理学と認知心理学の本ばかり読んでいるような。

アレクサンダー=トドロフ『第一印象の科学――なぜヒトは顔に惑わされてしまうのか?』みすず書房

「顔の価値」に関する最先端の知見を学ぶ。著者はプリンストン大学の心理学者である。いわゆる「ルッキズム」に関しては社会生活に多大な影響を与える割に、きちんと分析されてこなかった印象。容易に差別と結びつきそうな研究対象だから、なかなかデリケート。昔は日本にも骨相学などという分野があったようだけれど。

岸本裕史『見える学力、見えない学力』大月書店

教育論の名著と呼ばれる一冊。1981年の初版から数えて現在74刷である。『(前略)アジア各国から来ている留学生たちは言っています。「今私たちの国は劣っていて貧しいです。しかし、日本の大学生はちっとも勉強しませんね。ドライブ・バイト・ゴルフやナンパばかりしています。三十年したら、日本はだめになっています。私達の国のほうが、ずっとよくなります」(中略)留学生たちが異口同音に予言していることが的中しないことを願って刊行いたします。』

船津徹『世界標準の子育て』ダイヤモンド社

Twitterで知った本。私の中では『人はいかに学ぶか』『見える学力、見えない学力』と一緒に並べておきたい内容。「子育て」に関する本は数限りなく出版されているが、本書は論旨と根拠が明快に思えたので購入してみる。<「人に迷惑をかけるな」で、自尊心の低い子に>(p58)。なるほど納得。